東京都新宿区 相続・差押・ごみ屋敷・立退き 成約事例

物件概要
- 所在地
- 東京都新宿区
- 種別
- 戸建て
- 成約時期
- 2025年11月
売却まで1.1年間 - 築年
- 約38年
- 土地面積
- 約200平米
今回のご依頼は、相続した賃貸併用住宅の売却についてでした。
ご依頼主さまとお兄さまは、お母さまから相続した不動産を共有していました。
しかし、相続後しばらくしてから固定資産税・都市計画税の滞納が続き、東京都が代位者となって相続登記を行い、滞納処分による差押登記が設定されました。
都税事務所から差押通知書が届いたことをきっかけに、ご依頼主さまは複数の不動産会社や弁護士に相談されましたが、なかなか解決には至りませんでした。
ご依頼主さまご自身も、相続不動産から約20km離れた場所で一人暮らしをされていました。結婚・離婚を経て、お子さまもすでに独立。50代となった現在は、レストランのアルバイトを2つ掛け持ちして生活されていました。
経済的な余裕はなく、将来への不安もあるなか、「相続した不動産を売却して現金化し、これからの生活資金を確保したい」という思いをお持ちでした。
しかし、売却には大きな問題がありました。
相続不動産には、お兄さまが一人で暮らしていたのです。
お兄さまは結婚後、約400km離れた遠方で暮らしていましたが、離婚を機に実家である相続不動産へ戻っていました。
建物や敷地の管理状態も良好とはいえず、敷地内にはごみが散乱し、庭木も道路まで越境している状態でした。
一見すると、とても人が暮らしているようには見えないほどでしたが、よく見ると、そこで生活している形跡がありました。
不動産を売却するには、共有者であるお兄さまの同意だけでなく、実際に退去していただく必要がありますが、お兄さまとは連絡が取れませんでした。
ご依頼をいただいてから約2か月の間に、5、6回にわたって現地を訪問しましたが、お兄さまは家から出てこられません。
郵送物を送っても反応はなく、話し合いの糸口すら見つからない状況が続いていました。
さらに、差押登記、賃貸中の部分、境界や越境物など、売却にあたって整理しなければならない問題も数多く残されていました。
ご依頼主さまが売却を決意してからも、すぐに売却できる状況ではなかったのです。
そこで弊社は、単に不動産の買主を探すのではなく、「どうすれば、この不動産を売却できる状態まで持っていけるのか」というところから解決策を考えました。
まず、権利関係の調整に長けた専門業者の協力を得ながら、お兄さまとの連絡を取るための方法を検討しました。
弁護士名義で内容証明郵便を送付し、「このまま協議ができない場合には、ご依頼主さまが相続不動産の共有持分のみを売却する意思がある」ことを正式にお伝えしました。
これが転機となりました。それまでまったく連絡が取れなかったお兄さまと、ようやく話をすることができたのです。
ご依頼主さまから最初にお問い合わせをいただいてから、約9か月が経っていました。
お兄さまと話をするなかで、さらに新たな事実も判明しました。
相続不動産の2階には賃借人が一人お住まいになっており、売却のためには、その方にも退去していただく必要があったのです。
そこで、お兄さまには、ご依頼主さまとお兄さま、それぞれが置かれている現在の状況を丁寧にご説明しました。
そして、相続不動産を売却して現金化し、その資金から税金の滞納を解消し、それぞれが新しい生活へ踏み出すことをご提案しました。
最初は非協力的だったお兄さまも、事情を理解され、売却に向けて協力していただけることになりました。
賃借人についても、転居先の初期費用を貸主が負担すること、明渡しの協力金を支払うことなどを含めて条件を整理し、約1か月かけて賃貸借契約の終了および退去に関する合意書の締結にこぎつけました。
さらに、同時期に現地測量を実施したところ、相続不動産の一部が区道として利用されていることが判明しました。
有効宅地が減ることになってしまったため、買主との協議が必要になりました。
また、敷地の約4分の3に都市計画道路の計画決定がかかっていました。
公簿面積は200㎡をわずかに超えていたため、当初は公有地の拡大の推進に関する法律に基づく届出が必要と考えていました。
しかし、測量によって一部が道路として利用されていることが分かり、実際の対象面積が200㎡を下回ることが判明しました。結果として、同法による届出が不要であることも確認できました。
諸々の交渉、調整を経て、ようやく買主と売買契約を締結することができました。
買主からは、境界確定および測量、指定面積での分筆、隣地との越境物や共有物の撤去(できない場合は覚書の締結)、ブロック塀の所有関係の確認、残置物の撤去、差押登記の抹消、賃借人の退去など、さまざまな条件が提示されました。
一方で、建物については、引渡し後に買主の負担で解体・撤去し、建物滅失登記まで行うという条件でした。
そのため、ご依頼主さまとお兄さまは、手元の資金を使って建物を解体してから引き渡す必要がなく、そのままの状態で引き渡すことができました。
決済までの期間は約3か月でした。決して余裕のあるスケジュールではありませんでした。
境界確定や越境物について隣地の地権者との調整を進め、決済への目処が立ったところで、今度はお兄さまと賃借人、それぞれの転居先を探すことになりました。
特に賃借人は、現在の賃料が周辺相場と比べて少し割安だったため、同程度の賃料で住める物件を近隣で探すことに苦労しました。
それでも一つひとつ課題を解決し、決済の約2週間前に賃借人の新居への転居が完了しました。
続いてお兄さまの転居先も決まり、無事に退去していただくことができました。決済のわずか5日前のことでした。
このような経緯で、決済を無事に迎えることができました。
ご相談をいただいてから、約1年1か月。お母さまから相続してからは、実に8年5か月の時間が経過していました。
なかなか連絡が取れなかった共有者、長期間にわたる税金の滞納と差押え、ごみ屋敷となっていたこと、越境の存在、予期せぬ賃借人の存在、敷地の一部が区道として利用されていたこと、都市計画道路にかかっていたことなど、さまざまな問題が重なった不動産でしたが、目の前の問題に一つずつ丁寧に取り組み、兄妹が相続から長く抱えていた問題に区切りをつけることができました。
